第35回日本脳死・脳蘇生学会 総会・学術集会
会長 小野 元
(川崎市立多摩病院 脳神経外科)
時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は当教室の種々の活動に格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。さて、この度 2023 年7月1日(土)に、神奈川県川崎市武蔵小杉にあります川崎市コンベンションホールにおいて、第35回日本脳死・脳蘇生学会総会・学術集会を開催させて頂くこととなり鋭意準備を進めております。
伝統ある本学会を担当させていただく事になり、この上ない名誉でとても身の引き締まる思いであります。本学会の歴史は昭和 63 年(1988年)に始まり、諸先輩方のアグレッシブな議論により、常に新しい方向性を提示して参りました。
本学会は学術性と社会性を併せ持つ特異な学会でもあり、特に社会に対する責任や認識を強く感じております。つまり脳蘇生に関する医学の進歩を促進し、広く知識の交流を行うことと同時に残念ながら蘇生困難となった場合の家族への関わりや終末期における選択肢において臓器提供の選択肢提示や家族への支援についても法改正前から事例検討や研究を積み重ねております。
第35回の学術集会では「脳蘇生の進歩と終末期の選択肢」ーポストコロナ・新しい時代への挑戦ーとさせて頂きました。本会の発足当初よりご尽力された先人の教えと技術とこれからの新しい技術・診断・治療を学びの機会を得ることで、これからの臨床により安全・確実な診断・治療を学べるプログラムを企画し、交流を図りたいと願っております。
また、我々医療が目指すゴールは脳蘇生治療後の社会復帰にあります一方で、脳蘇生治療を実施しても蘇生が困難な症例は少なからず発生し、家族を失った家族、そして医療者にとっては失望や寂寥感を感じざるをえません。
そのため、「脳蘇生の進歩」も「終末期の選択肢」のいずれのテーマもポストコロナに向けた新しい挑戦としており、関係機関の皆様、そして医療スタッフの方々にお集まりいただきシンポジウムやパネルディスカッション、一般講演、講演会を通じ情報共有できる場を設けたいと思います。